今の時代－経済発展にともなう問題と解決策－

現代社会の課題

社会の課題を書き始めると止まらないくらい次々に思いつきます。

地球温暖化、化学物質・放射性物質・外来生物等による環境の汚染、生物多様性の減少、

国家間の格差拡大、資源の奪い合いによる内戦、いっこうに終わらないパレスチナ問題、

発展途上国での人口爆発と、先進国の少子高齢化問題、

資源の枯渇と偏在による問題、人口増加と食料問題、人口増加と水問題

一部の国と企業への資本の集中と社会の均質化、それにともなう地域文化の減少……

原因
これらの原因はそれぞれ複数からみあっていて複雑ですが、
その根底に流れる最も大きな問題は

”経済を発展させることが第一”
という思想にあると考えています。

この考えは一面では人間社会の発展に役立ってきました。
進化思想・適者生存の思想・唯物思想といった19世紀に確立した大きな思想にも影響され、
現在まで完全に代わりうる他の考え方・思想は出てきていません。

経済発展の恩恵
経済が発展することで、今までできなかった規模の活動を人間が行うことができ、
巨大実験の究極ともいえる加速器を使った実験で、宇宙の創世期の解明をすすめるといったようなこともできるようになってきました。

またインターネットの普及により、人々の知恵の結集が各分野で進み、
世界に埋もれていた才能が善いことに使われる例もたくさんあります。

一見いいことずくしのようですが、 現代の諸問題は経済発展に関連する形で発生します。

経済発展の問題
この”経済を発展させることが第一”という考え方、思想のどういうところが問題を起こしているのでしょうか？
例えば環境経済学の分野では「地球環境が有限であることを無視していること」に問題があるとしています。
またブータン王国が世界に一石を投じた「ＧＮＨ（国民総幸福量）」という指数に示されるように、
ＧＤＰをメインの経済指標にすることに問題があるとする考えもあります。（わが国の内閣府も近年さかんに研究していますね）
利子の存在に問題があるとし、原則利子を禁じているイスラム金融を解決策として研究する人もいます。

様々な考えはありますが、経済発展に伴って問題が発生していることには意見が一致します。
経済発展をやめるとこれら諸問題は解決するのでしょうか。

経済発展をやめると
現代は経済発展が止まると雇用が失われ、社会が不安定になるという構造になっています。
（枝廣淳子著『GDP追求型成長から幸せ創造へ』に詳しい）

また、経済発展の原動力である利子の存在は無名の新人であっても
利子率次第で平等に投資をうけることができるというメリットもあります。利子が無くなると出生による不公平が現れます。

今の構造のままでは経済発展を止めるも地獄、止めないも地獄です。

そんな中、これからの選択肢はいくつかに分類できます。

いくつかの選択肢
経済成長つまりＧＤＰの成長をやめる道なのか、
やめずに物質的な経済発展ではなく、精神的な価値で経済発展（つまりサービス業中心）を目指すのか、
あるいは今のままだましだましの道か…。

解決への道はいくつかありますが、いずれにせよ人類が岐路に立っていることは間違いありません。
それはつまり個々人も岐路に立っているということです。

農のあるライフスタイルは希望
こんな岐路の時代には視点を変えて、自分の生活の質を高めより豊かな気持ちになるにはどうすればよいか、
という模索の仕方が効果的だろうと考えます。

経済の構造がどの方向に変化するかわからない混迷の時代です。
経済のブレに左右されない本質的な価値を持った生活をする。
これが個々人が今とるべき道です。
そんな思いを持って生活する人が増えれば、それがひいては全体の経済の形を決めていくのだと思います。
では本質的な価値とは何かということですが、「農」にその答えの一つをもとめることができます。
農業は人類の文明とともに1万年にわたって続いている営みです。そこから離れている方が不自然だともいえます。

どんな形で自分のライフスタイルに「農」を取り入れるかは様々ですが、
農あるライフスタイルは現代を生きる人の希望であり、処方箋であると考えています。

スモールファーマーズ／古谷壮弘